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さよならの午後

初出:2006/7/16
この上もなく優しい別れ。

夢見るように目を閉じる、花のようなまぶたに触れた。
あたった皮膚の感触は鈍く、まる底に横たわっているのは人形であるよう。それでも、ああこれは貴女だ、と。
心に、理解が溶けた。
黒く悲しげな箱の中で、貴女は眠る。永遠への階段は、当に渡りきっていた。
綺麗に笑うので、気付けば目で追っていた。
幸せで幸せで、たまらないというように全身で笑う。眩しくて目を細めながらも、ああ、あの人が幸せじゃない世界なんて、あってはいけないと思った。
気がつけば、震えるように、心は貴女ばかり。
祈って、祈って、幸せばかりを。
ただひたすらに、素敵な明日が貴女に降りますようにと。
そうして、ただ、遠くから。
太陽みたいな笑顔だけ、見ていた。
滲む様に僕の体温が、眠り続ける貴女に残る。
初めて触れた頬は冷たく、あの太陽のような笑顔もない。
それでも、確かに。
僕は触れたのだと、心は震えて震えて世界を揺らす。
幸せでしたか。
そちらで笑っていますか。
願わくば貴女に後悔がありませんよう。
願わくば貴女がこの世界を愛していますよう。
触れた指先を握り締めて追悼は長く永く。閉じたまぶたの裏にも鮮やかによみがえる僕の至宝。
僕のことなど知らなくていい。崩れる涙も知らなくていい。
ただ、ただ、祈る。


貴女の生きるすべての人生が幸せでありますように。
貴女の生きるどんな瞬間も。
どうか。
幸せでありますように。


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私事ですが…。

そう遠くない内に現実となるだろう。
残酷かと思える言葉の数々だが、それは去りゆく人を思っての事である。
どの様な気持ちで聞いているか考えると、心が痛む。
人は私の事を冷酷だと罵るかも知れないが、最大限の優しさのつもりだ。
理解出来ない人間は理解しなくて良い。
私は私であり続ける。

こんばんは~。
こっそり読みあさっていましたが、今の私にリンクするものがありましたので、
思わずコメントしました。
どうにかなりそうなので、ここだけにこっそりと書かせてもらいました。
今度はもっとマシなコメントします。
本っ当にごめんなさい!
では~。
  • 2012/12/19(Wed)01:09:12
  • 編集

コメントありがとうございます!

薫さん>
一瞬薫さんもSS書かれる様になったのかと……!
誰でも起こりうることだとは思っているんですが、私の周囲にも一時期色々と重なりまして。こういうのは、散文でしか無いのですけれど、それが故に心象をよく表すように思います。
私は私で。
どこまでも、そうありたいですね。

こちらのブログはとても不定期更新になりますが、良かったらまた見てやってください。
コメントありがとうございます!
  • 夏野
  • 2012/12/19(Wed)22:22:12
  • 編集

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