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一日をまたぐ

初出:2007/5/27
日付変更線は少し怖い。

君の声が聞こえた気がした、君の声が聞こえた気がした、君の、


声が。


聞こえないなら耳などいらない、聞けないのなら世界など。君が認識してくれないならば自分などいらない、君がいない未来ならばないほうがいい、故に、酷く、僕は、脆く。
触れているのに溶けそうで。
目の前に、こうして立っているのに。
ただ、怖くて、怖くて、涙が零れる。
この手を失わなければならない明日がいつか来るというのならば、この先の未来ほど恐怖に満ちたものはないだろう。
そうしてまた張り裂けそうな心を抱いたまま、扉を、くぐる。
明日を祈る、闇の帳。

その扉はいつからかそこにあり、どこでなにをしていても一日を終えるのに必要なもの。
ノブに手をかけ、一つ呼吸し、目を閉じて、ひどくもったいつけて、ゆっくりと開く。扉をくぐり、一歩踏み出し、手探りのまま後ろ手に扉を閉める、その一瞬まで目を開けることはできない。
故に、僕は、いつも、弱く。
恐怖ばかり、心に巣食って、なお、明日をあきらめきれないまま。
そうして扉をくぐるごとに、「明日」は「今日」となり、未来は、一見連続して、けれども酷く断続的に、繋がっていく。


大丈夫、信じて。


そんな君の声が聞こえた気がして、扉のノブから手を離す。
聞こえた気がした声にすがって、きつく閉じた目を開ける。
今夜も、きっと明日も。
これからも続いていくだろう、断続的な幾多の夜も。
君の声が明日を許して、君の声が僕を促して、君の声が恐怖をどうにかなだらかにしてくれるから、だから。
また一日を新しく歩き出す、今日も、僕は、酷く、怖くて。
君の事は疑う術もないけど、信じ切れないのは自分なんだと。
震える手のひらを握り締めて、祈り捧げるように、空を見上げた。

僕は、毎夜、死ぬような想いをしながら、夜を渡り。
再度、君の、手に触れる奇蹟だけを、祈り眠る。

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