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バトルマニア

初出:2007/10/09
戦闘機擬人化がコンセプトだった。
戦闘機が好きです。

ステップ・アウト・トゥ・ザ・スカイ


呪文めいた言葉を紡ぐ、不器用な唇を見ていた。苦笑しちゃうほどぎこちない、無理無理のその外国語を。
何の恥ずかしげも無く口にする、そんな君の無頓着さが大好きだ。
「さぁて、初陣なわけだけど」
青い青い、どこまでも青く染んだ空を背にして、君が笑う。これから戦いにいくって言うのに、いつ見てもすがすがしいほどに無邪気な笑顔だ。
これを、この顔を。
初めて戦場で見たときは、心底ぞっとした。
「俺とあなたは一応ペアなんだけど、心意気は?」
楽しくてたまらないとでもいうように、ステップを踏む、舞うような君の歩調が、俺の心まで弾ませる。
ああ、やばいな、こんな気持ちは麻薬と同じ。いろんな感情をしびれさせてしまう、もう快楽しか巡らないようにしてしまう。
やばいな、小さくつぶやく。
君は魔法使いみたいだ。
「君に足りないところは俺が補うつもりだし、前のパートナーのほうが良かっただなんていわせるつもりはないけど、俺はあなた次第で働き変わるんだから、そこんとこよろしくね」
「ああ」
「ゾクゾクするぞぉ、殺し合いだ。そんで、俺が勝つ」
絶対に、と拳を握り締める君の笑顔が、あんまり無邪気で、無邪気すぎるものだからまたぞわぞわする。
そうだ、一番最初に見たときも、君は酷く楽しそうだった。笑いながら、けたけたと笑いながら銃を撃って、撃って、撃ちまくって、煙を上げてのろのろと退避していく敵を、追いかけて追い詰めて最後にトドメとばかりに、満面の笑みで。


『地獄で会ったらまた殺してやるよ』


叩き落した、完膚なきまでの勝利。
心底の笑顔で唇を舐めた、まるで飢えた獣のように。
怖い、最初に思ったのはそれ。強い、次に浮かんだのはそれ。痺れるね、気づいたらそういって俺も笑ってた。あれは、すごい。奇跡みたいな殺人鬼じゃないか、あれは。
怪我をして血にまみれた両の腕を伸ばして、ただひたすらに、戦うことだけ求めて笑って戦場を飛び回っていた、それが、彼だ。
「不思議だな」
「なーにが」
「君となら、なんだか、負ける気がしないんだよ」
「そんなん、あったりまえじゃん。俺がいるのに何で負けるんだよ」
応急処置を施しただけの腕に、白い包帯。
その包帯にじわりと滲む血の色が、彼をはじめてみたあの青くて赤い空の映像と結びつく。
そうだ、俺はあのときから、ずっと。
彼と一緒に戦いたかったんだ。
「んでー?そういえばあなた、なんで俺を選んだの?他にも一杯いるじゃん、パートナーは」
「知りたいかい?」
「あー、どうだろ?別にどうでもいいんだよね俺は戦えれば。けどいいたいならどーぞ」
「惚れた」
はは、とかすれた声が笑った。
心底楽しそうに、心底嬉しそうに。
「いいね、いいね。そーいうの好きだな俺」
ぞっとするほど無邪気に。
はっとするほど残酷に。
彼は、笑って、笑って、死神となる。


「あなたのこと、死なせないよ。今決めた」


青い青い空に翻る。
唯一つ真実の赤。

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