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追伸

初出:2006/04/09
中世モノをかくならこういうのを書きたい。

カチリ、と甲冑が音を立てた。
静寂に酷く木霊する、その硬質な音。

「・・・隊長殿、我々は・・・」

死する覚悟があります、と若者が言う。
くそくらえだ。

「敵は?」

「およそ三千、大砲が三つにございます」

「我々は?」

「数にして五百、武器は剣と盾のみ」

「状況をどう見る?」

「絶体絶命というものです」

「的確だ、下がれ」

何を目的でここまできたか、大国の部隊よ。このような小さな国に、武器すらも満足に整えられぬ弱国に。不可侵条約とやらはまだ有効期間内ではなかったのか。それとも大王の死で放棄というか。
こんな小指の先ほどの領地、手に入れて何になる。

「王から礼状が届きました」

「読め」

「貴殿が守るその大門こそ、わが国防衛の要。誰の命に代えてでも、決して落としてくれるなと」

「無茶を言う」

絶望がわからないでか。
四倍もの兵をそろえる相手に、どうしてこのような小さな門を守りきれよう。不可能だということくらいは、王にもわかっているだろうに。
ならば、降伏しろと。
プライドなど投げ捨てよと、よほど怒鳴ってやりたい。少なくとも死者の数さえ抑えられれば、王の裁量としては合格点ではないか。

「命令は受けた。俺たちは生きて帰れない」

ふざけた話だ。
どうあがけというのだ。

「門を守れ」

命令に兵士達が動く。

「ついでに」

付け加えたなら、なにか追加事項があるのかと走り去る寸前の兵士達が足を止めた。
すまない。
こんなことくらいしか言えない。


「できれば、死ぬな」


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