暁を待つ庭/短編保管庫
別ブログにて書き散らした短編まとめ。
激しく気まぐれ更新。
tragedy
初出:2007/7/30
歌詞はたしかロシアの「ポーレシュカ・ポーレ」。響きが好きです。
青い海原を前にして、思い出すのはそればかりだ。
故郷のあの草原は鮮やかに緑で、吹き抜ける風にゆられてしゃらしゃらと音を立てていた。
追いかけっこをしていた旧友の背中に、この先、今一度巡り会えるだろうか。
そろそろ、ひぐらしが鳴き始める。
トンボを追いかけて走った路は、まだ砂利道のままだといい。
懐古、懐古、懐古・・・
あきもせず、そればかりだ。
今、この海原から旅たつ。
踏みしめる大地もない先へ。揺るがない足元のない先へ。
蒼い蒼いその下に、底なしの暗闇を抱く、この恐ろしい棺おけを横切るのだ。
そして、また一つ、懐かしい故郷から遠ざかる。
ああ、懐かしいあの草原も。
この水面のように太陽に反射してきらきらとしていた。
長い、長い時がすぎて。
色あせた写真のように心さえ擦り切れて。
帰りたい、帰りたいと願い続けたその場所へは、もう、二度と帰らないのに。
潮騒に目を閉じれば、浮かんでくるのは草の音ばかりで。
ゆらゆらと漂いながら、なお、未練ばかりで。
駆け回ったあの世界は。
箱庭の緑は。
ただただ鮮やかに美しく、永遠にそのままに。
いまは、もうない。
歌詞はたしかロシアの「ポーレシュカ・ポーレ」。響きが好きです。
草原よ、草原
広い草原
馳て行く英雄が
遠い昔の英雄が
広い草原
馳て行く英雄が
遠い昔の英雄が
青い海原を前にして、思い出すのはそればかりだ。
故郷のあの草原は鮮やかに緑で、吹き抜ける風にゆられてしゃらしゃらと音を立てていた。
追いかけっこをしていた旧友の背中に、この先、今一度巡り会えるだろうか。
そろそろ、ひぐらしが鳴き始める。
トンボを追いかけて走った路は、まだ砂利道のままだといい。
懐古、懐古、懐古・・・
あきもせず、そればかりだ。
風が運んでゆく
そう、緑の草原を
彼らの勇ましい歌
なつかしい歌
そう、緑の草原を
彼らの勇ましい歌
なつかしい歌
今、この海原から旅たつ。
踏みしめる大地もない先へ。揺るがない足元のない先へ。
蒼い蒼いその下に、底なしの暗闇を抱く、この恐ろしい棺おけを横切るのだ。
そして、また一つ、懐かしい故郷から遠ざかる。
ああ、懐かしいあの草原も。
この水面のように太陽に反射してきらきらとしていた。
風が残すのは
戦の誉れと
ほこりまみれの路
遠くへ続く 路
戦の誉れと
ほこりまみれの路
遠くへ続く 路
長い、長い時がすぎて。
色あせた写真のように心さえ擦り切れて。
帰りたい、帰りたいと願い続けたその場所へは、もう、二度と帰らないのに。
潮騒に目を閉じれば、浮かんでくるのは草の音ばかりで。
ゆらゆらと漂いながら、なお、未練ばかりで。
草原よ、草原
多くの悲しみを見たことも
血にまみれたこともあっただろう
多くの悲しみを見たことも
血にまみれたこともあっただろう
駆け回ったあの世界は。
箱庭の緑は。
ただただ鮮やかに美しく、永遠にそのままに。
いまは、もうない。
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